みちしるべ

『みちしるべ』第22号 2007年9月15日発行

 

ばんばら茶を見直す

お茶を楽しむ会主宰 近藤 美知絵

今、ばんばら茶にはまっています。
このお茶に出会って10年位経ちますが、近頃になって本来の良さがわかってきました。
ばんばら茶は湯呑に直接茶葉を入れ、熱湯で煎れるか、煮る(宿煮する)と、他に類をみないこのお茶だけが持っているお茶の旨みを感じることができます。
先日、ばんばら茶を何煎か飲んだ後、思わず「このお茶はお菓子を呼ぶお茶だわ」と、つぶやいていた自分がいました。思うに“手作りだから懐が深いのだ”と…。
このお茶との出会いは、「静岡の人はこのお茶を飲まないけど近藤さんだったら飲むんでは」といただいて、飲んでみると、びっくり。これは“山茶”。その日の夜行で松山へ。
[略]
お茶を作っているのは、数軒だけでした。
その後、何度かの働きかけをし、ご協力もあって、今では二十数軒がお茶作りをするようになりました。
ところがこのお茶は、普通に急須で煎れても良さがわからず、お茶を生かしきれず、どうしたらよいかと…。
お茶と真正面で向き合ううち、山茶ゆえに葉も硬く、手作りのお茶。これをよく焙じ、沸騰したお湯の中に入れ煮てみると不思議。「これが日本茶」というような山茶の空気が感じられます。もちろん無農薬、それに、ごくわずかな茶葉で香味のあるお茶が飲める、まさに茶力抜群のお茶だとわかりました。

実は、ご縁により七年程伊勢に通い、三重県下のお茶を探していました。その中で熊野辺りは、ばんばら茶と同じ作り方、釜で炒り天日干しのお茶があり、他にも蒸して陰干しする手作りのお茶がありました。
江戸中期より、大きな神社・仏閣から始まったといわれる水茶屋。ここで飲むお茶は、手作りのばんばら茶のようなお茶でした。
木につるしたヤカンにお湯をグラグラ沸かし、手作りのお茶をほんの少し入れ宿煮し、お湯で薄めて出していたのがこのお茶なのです。

この夏より伊勢の茶処で自然茶を飲む所が出来上がりました。お参りの後、風を感じながらお茶を飲むと、往時がしのばれることでしょう。

ばんばら茶は、宿煮で何煎か飲むと格別です。手軽に使える電気炉や銅器を会でご紹介しています。手元に火のある生活をと…。

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